Teams無償版→有償版にアップグレードする時の闇
興味本位でTeams無償版 → 有償版にアップグレードして検証したのですが、仕様が闇すぎたのでメモします。なおこの検証は個人で1回しかやっていないので、間違っているかもしれません。
事前準備
こんな環境を用意しました。
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この時点でややこしくてすまん…なのですが、解説します。
アカウント1. @gmail.com
MSアカウントでTeams無償版を利用し、その他のアカウントをテナントに招待している。今回、このテナントをTeams有償版にアップグレードします。
アカウント2. @aol.com
単純に、アカウント1.(@gmail.com)からTeamsへの招待をもらった状態。自身のTeams無償版テナントは持たず、アカウント1.のTeams環境を利用しているだけとなる。
アカウント3. @hey.com
自身のTeams無償版テナントを持っており、その状態でアカウント1の環境に招待される。
アカウント4. @almea.jp
組織アカウント。自身でMicrosoft 365 Business Basicを利用し、有償版のTeamsライセンスがアサインされている。
試験内容
上記の状態で、アカウント1が保有するTeamsテナントをアップグレードし、何が起こるかを確認する。
で、アップグレードを行いました。気づいた点を1つずつ記載していきます。
1. "アップグレード"ボタンがしばらく消えない
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こちら、アップグレード後の画面なのですが、右ペインに"アップグレード"のボタンが堂々と表示されています。こっちはカネ払いましたが…。数時間経過、ログイン/ログオフを繰り返しても直らなかったので、1週間くらい放置するとこんな画面になって直ってました。よかった…のか?
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2. MSアカウントにはライセンスが付与され、ゲスト扱いとなる。組織アカウントはライセンス付与されない
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画面の通り、自身のテナントに対してライセンスを購入したアカウント1(kenkenってやつ)にライセンスが付与されるのは当然ですが、招待したゲストアカウントにもライセンスが付与されます。
これ、アップグレードボタンを押したときに、以下のようなステップでライセンス購入画面になるのですが、規定値が3になっていました。3未満に出来たかも確認すればよかったな…。2とかしたらどうなるんでしょうか?
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またレアケースですが、組織アカウントかつTeamsライセンスが有効じゃないアカウントを招待するとどうなったかは気になります。
- 組織アカウントだから、ライセンス不要
- Teamsライセンスが付与されてないから、ライセンス必要
どちらと判断するのでしょう?ちなみにライセンス規定に従うなら下ですね。
ひとまず今回の結果より言える事は、どこかのテナントでTeamsライセンスが振られていないアカウントに対して、有償版ライセンスを付与する動きになるようです。
ゲストアカウントのライセンス規定
Microsoft Teams でのゲスト アクセスを管理する – Microsoft Teams | Microsoft Docs
Teams では追加することができるゲストの数に制限はありません。 ただし、テナントに追加することができるゲストの合計数は、ご利用の Azure AD ライセンスによって許可されるものに基づきます。通常はライセンス ユーザーごとに 5 人です。 詳細については、「Azure AD B2B コラボレーションのライセンス」に関するページを参照してください。
ということで、1つライセンスを持っていれば5人までゲストユーザーが招待できます。今回のケースなら自分1人 + ゲスト3人(うち1人はTeamsライセンス持ち)なので、3つライセンスを買う必要はない、ということになります。
もうちょっと言うと、以下のようなケースであれば、支払うライセンス金額が大分違ってきます。
- ケース1.
- Teams無償版で使用し、いろんな人を呼んで100人のテナントになった。有償化した後、10人のユーザーを招待した。
- ケース2.
- Teams無償版で使用し、いろんな人を呼んで20人のテナントになった。有償化した後、90人のユーザーを招待した。
ケース1は100ライセンス必要だが、ケース2は20ライセンスで済む。結果は同じ。MSのライセンスの仕組みを理解していない一般ユーザーから暴利をむさぼる仕組み化と思われます…。
3. 管理者アカウントのUPNが変更になる
これが一番ヤバい変更かと思いますが…。Teams有償版 = AzureADが生成されるので、xxx.onmicrosoft.comの形式のUPNになります。今回の場合、アカウントAユーザーはx@gmail.comというアカウントでTeamsを利用できていたのが、アップグレード後は"admin@dev0120200904gmailcom.onmicrosoft.com"というIDでログインしなければいけません。
しかも、dev0120200904gmailcom.onmicrosoft.comの部分、有償版テナントを作るためにサインアップする1回しか表示されないんですよね…。これは素人詰むでしょ。
ちょっと補足、というか事象説明
実は今までログインに使っていたgmailアドレスは、"連絡用メールアドレス"カラムに移動しています。
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で、アップグレード後、しばらくはこのメールアドレスがエイリアスの役割を果たしてログインできていたのですが、1週間ほど経過し、このアカウントでブラウザからサインインを試みると、このアカウントがMSアカウント扱いになってしまいました…。
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つまり、何らかの裏処理が走って、元々1つのMSアカウントが、組織アカウントとMSアカウントに分離した?
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と思ったけど、Teamsクライアントだけは、gmailアカウントでログイン可能。ただ、リダイレクトが走るので、何らか裏でMSアカウント → 組織アカウントの紐づきが発生して、リダイレクトできる?
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4. 予定表タブがおかしい
そもそもなんでTeams有償版にするんでしたっけ?というと、Teams容量の拡張やOneDriveの利用も大きいですが、Exchange Onlineが使えることによって、Teamsから予定表が呼び出せる、というがあるでしょう。
しかし!
「1. "アップグレード"ボタンがしばらく消えない」の画面を再掲しますが、予定表タブがありません!!!
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ひどくない?もちろん、Exchagne Onlineのライセンスは付与されています。
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OneDriveはどうなの?
ちゃんと動作しております。よかった。
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復旧を試みる
Exchange Onlineの予定表を触ってみる
Teamsに予定表が表示されないのは、Exchange Onlineに1回もアクセスしてないからじゃね?と思ってアクセスしてみます。
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予定表タブが表示されました。マジかよ…。
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結論
私の調べた範囲だと Teams無償版 → 有償版へのアップグレードはやめましょう という結論になります。や、もちろん調べ漏れとか一時的な事象である、って説は残ってますが、問題は 検証するのにカネがかかる ということであり、興味本位でそこまでするのは辛いなぁ…という印象。次回のIgnite 2020でTeams無償版の話が出たら、耳かっぽじって聞こうと思います。
ただ、仮にスムーズに移行できたとしても、今まではTeamsの画面だけで完結していたのが、ユーザー管理・ライセンス管理のためにM365管理センターと付き合わないといけないし、無償版の遺産を引きずってリカバリから始めないといけないのは辛すぎます。
MSさん、こんなにばらまいたTeams無償版どうするんだろうなぁ…。こんなんじゃ、有償版にアップグレードさせたら逆にクレームでしょ。
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