MicrosoftTeamsの既読通知機能を有効にすべきかどうか問題
現状のまとめ
対象 | 既読通知機能 | 既読表示タイプ |
---|---|---|
チームチャット | ○有効(有効/無効/ユーザー選択可能から選択可) | 不明 |
プライベートチャット | ○有効(変更不可) | 不明 |
※ 2019/5/23現在、既読機能は未実装ですが、予告されたロードマップから仕様を推測しています。
- チームチャット、プライベートチャットとも既読機能が有効になる
- 既読表示タイプは以下の2タイプがあるが、どちらが実装されるかは不明
- タイプ1. 読んだ人数が分かるが、ユーザーは分からない
- タイプ2. 人数も、ユーザーも分かる
詳しくは前エントリを参照
Teams以外のビジネスチャット開発会社のスタンス
考察にあたって、先行する各ビジネスチャットの既読機能の有無と主張を確認しました。ざっくりまとめると既読機能を肯定する内容は少なかったです。理由としてはいかが考えられます。
- 既読機能がついていないビジネスチャットの方が多い事
- 自社の製品を正当化するため、既読機能を否定
- 一般論的に若年層に比べて年配層の方が既読機能に抵抗があるため
- おそらく社外に公開する文章を書くのは年配層に近い人物であるため
既読機能は不要だよ派
チャットの「既読」が生む仕事のミス! | ビジネスチャット「知話輪」
「知話輪」に既読機能がないのは、「自分のメッセージを相手が読んだことがわかるので、安心する」というメリットに疑問があるからです。ビジネスコミュニケーションにおいて、「既読がついた」という事実だけで安心できるでしょうか。本当に重要なのは「伝わったかどうか」です。 私たちは、既読がつけばメッセージを読んでくれたと思いがちです。しかし、既読がつくことでわかるのは、「そのタイムラインを開いた」ということだけなのです。開いただけで、読んでいない場合でも既読がついてしまいます。 (中略)既読機能で得られるのは「自分は伝えた」という安心感のみです。しかし、本当に大切なのは「伝わる」ことです。
すぐに返事をすることがメインのコミュニケーションツールと違い、Chatworkは自分のタイミングでメッセージを確認できるツールです。
立場によってもプレッシャーの感じ方は様々で、上司と部下、取引先への返信など、既読をしているにもかかわらず返答が無いと相手に対して何らかの不快感を与えてしまう可能性が出てきますし、そういった不安を残したまま業務を行わなければいけません。
既読機能は必要だよ派
疲れないためのビジネスチャット運用のコツ – LINE WORKS
LINE WORKSは仕事用なので、業務連絡が誰に伝わったか、誰に伝わっていないかが分かるというのは、実は業務効率にすごく影響します。なぜかって、「了解です」という返事が来なくても、既読がついていれば「あ、この人は読んでくれた」とわかるから、送った方は「読みましたか?」って確認しなくて済むからです。
この機能を活用して、既読がついていれば、「了解です」の返事をしなくて良い、というルールで運用している企業、聞いてるとけっこう多いんです。
既読がつけば返事をしなくても良い、のメリットは2つあります。
一つは単純に返事をする手間が省けること。多忙な業務の合間に返信する手間がこれで省けます。
二つめは、これが実はけっこう重要なんですが、大人数のグループチャットで「了解です」の返信やスタンプを返すと、返事だけがひたすら連続するトークルームになってしまうんです。
その他
高校生のLINEでのやりとりに対する認知に現代青年の友人関係特徴が及ぼす影響
日本パーソナリティ心理学会の論文。高校生400名にアンケートを取ったところ、既読機能の存在により行動に制約を受け、ストレスとなることが有意に認められる。
LINEの「既読」機能はなぜ無くならないか | Books&Apps
かなり痛烈に既読機能を批判していますが、ロジカルだったため紹介。
本来、メッセージの処理は「受け手」に任されてきた。無視しようが、返事を返そうが、いつ反応しようがそれは、「メッセージを送る相手」に任されてきた。「返事を返さない、という返事」も選択肢として存在していた。
その権利を、LINEは取り上げたのだ。
「LINEはメッセージ送信者のワガママを叶えます!」
そういうことだ。
しかし、本来メッセージは「受け手」を中心に考えなければならないものである。コミュニケーションとはそういうものだ。
それを壊し、「メッセージの送り手」のワガママを助長する。LINEはますますコミュニケーションの下手な人を増やすことを助長していると私は思う。
ひとまずの結論
組織所属メンバーのコミュニケーション能力に自信がない場合、既読機能はONにしない方が良い
正直、今回いろんな記事を探すまではうまく既読機能を使えばコミュニケーションがよりスピーディーに、円滑に進むのではないかと思った。しかしながらそういったメリットよりも、既読機能のデメリットの方が大きく作用しそうに思えます。
リスク1:既読機能に対して、違った解釈が発生する
同じシステムでも、部署や事業所によって使い方が違う事はよくあります。文化の違うチームメンバーが混ざった場合「うちのチームでは"既読"がついたら"了解"のニュアンスだった。」「いや、うちのチームは"既読"は関係なく、明示的にレスポンスを返すルールだった。」など、混乱が発生する可能性があります。
リスク2:コミュニケーション下手なメンバーの存在
例えば、相手の事を考えずに話に割り込んでくる、いつでもすぐに電話をかけてくる、相手が納得したかを確認せず言いっぱなしでその場を去る、などコミュニケーション能力に問題がある人は既読機能をメッセージの送り側が都合の良いように解釈する可能性が高いと考えます。となると、既読機能反対派が懸念する問題が発生する可能性が高いと思われます。
以上の2つの理由より、ユーザー属性がばらばらである、あるいは組織規模が大きければ大きいほど(確率的にコミュニケーション下手なメンバーが存在する確率が高くなり)既読機能を使うのは難しい、と言えるのではないでしょうか。半面、スタートアップなど数人の会社なら、既読機能の解釈もブレにくいでしょう。
図にするとこんな感じでしょうか。
しかし既読機能をオフにしようとしても、個人チャットは強制的にオンになっちゃうぽいですし、困りますね…。
既読機能をうまく使える条件
条件1. 既読機能に対する解釈を組織内で統一できる事
例えば以下のようなルールを制定して、管理者が宣言する
- 既読機能は相手に何らアクションを強制するものではない
- 何かアクションを指定する場合は、メッセージ内にその旨を記載し、望むアクションを指定する事
- 既読をつける行為は、相手に何かを自分の意思を伝えるものではない
- 何らかの意思表示をする場合は、いいねやコメントをつける事
宣言するだけではなく徹底させなければいけないため、組織規模が大きいと大変そうです。
条件2. 既読機能を都合の良いように解釈するメンバーがいないこと
管理者が宣言したルールを破る人がいた場合、ルールを破られた周りのメンバーの不快感が非常に大きくなるため、既読機能の利用は停止したほうがいいでしょう。
ということで、次のエントリでは既読機能を使う前提として、Teamsでの既読機能の構成を考えていきます。
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