Exchange Online の”+”アドレスについて
Gmailなどで利用できる"+"アドレスがExchange Onlineでも利用できるようになります。
この動画の5分くらいから。
Exchange Online Transport News from Microsoft Ignite 2020 – Microsoft Tech Community
"+"アドレスとは
自分の本来のメアドが user@gmail.comだとすると、user+rakuten@gmail.comのように、+でつなげることで自分のセカンダリアドレスを無限に持つ事が出来ます。利用用途としては楽天に登録するアドレスとuser+rakuten@gmail.comにして、楽天からのメールを仕訳ルールでフィルタリングする事が出来ます。
いつから使える?
2020年9月中旬~10月にかけて使えるようになるようです。デフォルトがONかOFFかは明言されていませんが、いろんな情報を見る限りデフォルトONでリリースされそうです。
使ってみた
設定をONにすれば今でも使える、という事で使ってみました。
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GmailからO365にメールを投げます。
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着信しました。動作しましたね。
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当然ですが、こっそりセカンダリアドレスを付けたりはしていません。
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Exchange サーバー側の動き
Exchange サーバーはこの動きをどう処理しているんでしょうか?ということで、メッセージ追跡センターを確認してみました。
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なるほど。予想通りと言いますか、いったん+アドレスで受けた後にプライマリSMTPアドレスに変換されてますね。Exchange内部はメールアドレスではなく"オブジェクト"単位でメールをやり取りしているので、社外からセカンダリアドレスに対してメールを送った際もこのような動きをします。ということで、この"+"アドレス機能は「ユーザーが勝手にセカンダリアドレスを増やせる機能」と理解すれば良さそうです。
管理者が気にする点
社内→社内/社外のメール送信時
これは気にする必要はありません。Exchangeの仕様で、ユーザーにどれだけセカンダリアドレスがついていても、ユーザーオブジェクトのプライマリメールアドレスからのみメールが送信できる、という仕様なので、ましてや一時的な"+"アドレスからメールが送れるという事はなさそうです。
※ 昨年のIgnite2019では"メールも送れるようになる"という情報があった気もしたので、一応警戒しておきますが
社内→社内のメール受信
これは社内からのメール送信と同じ考えなので気にする必要はなし。社内から送られるメールはプライマリメールアドレスのみです。
社外→社内のメール受信
これがポイントで、以下のような場合に困る可能性があります。
受信者のメールアドレスを指定したトランスポートルールを作成している場合
はい、実はこの場合は大丈夫です。"+"アドレスでメールを送るとこのルールが効かないのではないか?と思ってしまいますが、前述のメールログの通り、一度本当のアドレスに変換するため、そのタイミングでトランスポートルールが適用されます。
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まぁ普通はメアド直指定のルールなんて作らないので、このケースはレアだと思いますが。
外部の3rdパーティーMTAで同様の処理をしている場合
例えば、hogehoge@company.comは外部からのメール受信を3rdパーティー製MTA禁止している場合、hogehoge+test@company.comでのメールは3rdパーティー製MTAではスルーしExchangeに到達してしまいます。
外部の3rdパーティーのMTAを契約しており、メールアドレス単位で課金が発生する場合
3rdパーティー製MTAの契約体系に寄りますが、通過したメールアドレスの個数で課金される場合、ユーザーが勝手に"+"アドレスを使う事で予定外のアドレスのメールがルーティングされ、3rdパーティー製MTAに怒られてしまいます。
(2020/9/29追記)管理者が気にする点その2
組織に"+"アドレスを持つ人がいる場合、この機能が有効になることで"+"のつかないアドレスでもメールが受信できてしまいます。そして、"+"アドレス機能を無効にすると、元々の"+"アドレスでメールが受信できなくなるのでは…と思いました。
まとめ
そんなわけで、この機能は外部の3rdパーティー製MTAを使っていなければ、気にせずメリットを享受できそうです。逆に使っている人達は、"+"アドレスによるデメリットを考慮し、オフにする事を検討しましょう。
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