「決断力」読後感想
Web進化論の梅田さんとも交友の深い羽生善治さんの本。ネット上ではむちゃくちゃ絶賛(下のamazon参照)されてます。
棋士の天才的な閃きの話、ではなくごく普通の事が多いです。継続して努力する、好きな事を続ける…。まるで日本の古きよき諺を現代風にしゃべり直したような内容。なのでインパクトや「気付き」は少ないと思います。逆に言うと、派手な方法論とはではない、普段の努力/精進の積み重ねこそ本当に必要ってことかな。
その中で僕が印象に残ったの箇所をピックアップ。
■P47 仲間からの「格付け」について
仲間に信用されるということは「強い」と認められること。実社会ではまさにそう。「格付け」が高い人の意見は重宝されるし、その人が動けばみんなが動く。逆に「格付け」が低くみんなに認められてない状態では、疑いの目で見られてしまう。これは普段から意識しなければいけない。そして信頼を勝ち取るには普段の地道な努力が不可欠である。
■P79 常識を疑うということについて
常識を鵜呑みにしていては何も生み出さない。回り道をして自分の手を動かすことで、本当の知識は身に付き新しい創造ができる。つまりWeb上のまとめサイトやHowToサイトに頼るのは楽だ。けど、自分で試行錯誤して手を進めることで吸収したり創造したりすることができる(時間かかるけど)
これはP126の情報処理の話にも通じていて、情報を集める事じゃなく「捨てる」事が重要。そして残ったものに対して集中的に思考を深める。
■P88 集中力の話
深海に潜るように深く集中していく。プログラミングの本で、本当の集中状態に入るのは30分くらいかかるし話しかけられることで集中が切れてしまう。だから、プログラマーの作業環境というのは非常に重要、というのがあったが通じるものがある。ただし単に「集中する」のは無理。自分が興味を持つ方向に物事を進めることでより深く集中できるようになる。
■P139 信念を持つという事
引用。
今は、周りに流されやすい時代だ。情報の量がふえ過ぎ、それへの依存度がどうしても高くなってしまう。高くなると、イメージを思い浮かべたり、ものを創るといった力が弱くなってしまいがちだ。そんな中で自分なりのスタイルや信念を持つことが、非常に大事になってきているのではないだろうか。それがないと根無し草と同じ、ただ流されるだけになってしまう。自分なりの信念やスタイルを持つことは、物事を推し進め、深めていくためのキーなのだ。
この後、P79の流れから「実戦には何倍もの「学び」がある」と続く。本の中での主張はシンプルで一貫してます。泥臭い努力が結果に結びつくってこと。毎日がんばりましょう、という話。
ただ、純粋な「啓発本」目的でこの本を買うのはお勧めできないかな。要旨をまとめた読みやすい本は他にたくさんある。「天才棋士の実体験」やネットの記事を読んで彼に興味を持った人が買ってこそ意味のある本。名著、までの存在ではないなぁと思いました。読みやすかったけどね。
渡辺俊介の「アンダースロー論」もそうだけど、その道のトッププレイヤーの頭の中ってのは面白いなぁ。
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