『世界一やさしい「やりたいこと」の見つけ方』のワークを行う

いろいろあって現在コーチングをお願いしており、その中で表題の本のワークを紹介されたのでやってみた。 自分の理解を整理するため、この本の内容とワークを記事にする

書籍の内容

世界一やさしい「やりたいこと」の見つけ方

想定読者は20代~30代くらいの仕事には慣れたが充実感がない、これが本当にやりたかった事なんだろうか…と悩んでいる人である。一言でいうと「自分探し本」だが、よくあるこの手の書籍のように筆者の成功体験を押し付けたり、スピリチュアルに「あなた次第!」と結論付けず、筆者の考案したフレームワークに落とし込んでいるため、ロジカルで分かりやすいです。

内容については書籍で確認してもらってもいいし、著者自身のWebサイトやyoutubeでの解説動画もよいと思います。

「やりたいこと」の見つけ方-フレームワーク

「やりたいこと」と言っているが、ゴールは「本当にやりたいこと」を見つけることであり、この2つは明確に区別されている。

また「本当にやりたいこと」は、本当にやりたいからタダでもやります!というのではなく、対価を得て職業としてやる事が想定されている。

「やりたいこと」を見つけるために、「好きな事」と「得意な事」を洗い出し

「好きな事」

例えばだが、好きな事として

  • 野球

があるとする。最初の間違いは

  • 野球が好き!=野球関係の仕事に就こう!

と考えること。これで野球のプレイヤーを目指してしまった場合、自分が野球を好きなだけでプレーすることは苦手でない場合、それはやりたいことにはならない、となる。

プレーすることは苦手でも、好きだからやりたい事なんだ!という主張もあるが、前述したとおりこの本では「やりたいこと」は対価を得て職業として取り組むことを言うので、この本の定義では「やりたいこと」にはならない。

「得意な事」

次に「得意な事」を洗い出す。例えば、過去に成果を出した出来事で自分が担当したことは何か?他の人は苦労するのに自分は楽しくできることは何か?などを考え、出していく。

書籍や著者のWebサイトで「得意な事」を見つけるための30の質問があるので、これをワークすればなんらかが見つかる。

結果、

  • 文章を書く
  • データを分析する

が自分の得意なことだとする。

こうなると

  • 好きな事
    • 野球
  • 得意なこと
    • 文章を書く
    • データ分析をする

となるので「やりたいこと」は野球についてのデータ分析を行い、それについて魅力的な文章で伝えるとなる。

著者の考えでは「得意な事」=性格的な、先天的なものであり、粘り強いとか瞬発力があるとか、そういったものを言う。逆に英語やプログラミング、上で例に出した文章を書く、データ分析をするといったものは後天的な"スキル"とし、得意な事と扱わない事を推奨している。ここでは分かりやすいよう文章やデータ分析を得意な事と定義したが、ガチで取り組むなら「なぜ文章を書くのが得意なのか?」と深堀し、自分の先天的な能力まで掘り下げるべきである

大事な事=価値観=仕事の目的

3つの要素の中で一番大事かつ、個人的には一番難しいと感じるのがこれである。詳しくは本の該当ページか著者の"価値観"についての説明を参照。

あなたの「価値観」が見つかる30の質問|自己理解プログラム公式ブログ

著者の場合は「夢中」というのが大事な価値観と言っている。好きな事×得意な事=やりたいこと の公式で"やりたいこと"をたくさん考えた後「夢中」という価値観に合致したものを選べば、これが 本当に大事なもの、になると言っている。

以上が著者のフレームワークであり、ここからが私の疑問です。

疑問1. 価値観を探すのが難しい(難しかった)

実はこれはある程度解決しているのですが、難しくてかなり悩んでしまったことです。著者曰く、自身の価値観=自分がそれで満たされていると気持ちよく、この価値観を周りにも広めたいと思うもの、となる。著者は、自分が何かに夢中な状態は非常に満足するし、他の人が人生を夢中に生きてないともったいないと感じる、怒りさえ覚える、とのこと。

逆に言うと、私は自分の人生を夢中に生きたいと思うが、他人にそれを強要する気はないというか、人の人生は人のものなので、好きに良ければいいんじゃない?と考えた。ということは、"夢中"という価値観は自分の中でめちゃくちゃ重いものではない、と気づいた。

このように考えていくと、1つ自分の中でこれはという価値観があり、それは"モラル"である(礼節・敬意とも言えると思う。理性、とかそういうキーワードも合致度が高い)

疑問2. 価値観を探したとして、それを"仕事の目的"に変換するのが難しい

さて、私の大事な価値観が

  • モラル
  • 礼節
  • 敬意
  • 理性

だったとする。この価値観を私は他人にも広めたいとする。果たしてこれをどうやって"仕事の目的"に変換すればいいのだろうか?

疑問3. 仮に"仕事の目的"に変換できたとして"やりたいこと"のフィルタリング出来るのか?

例えばモラルという価値観を世に広めるのが仕事の目的であるとした場合、やりたいことを適切にフィルタリング出来るのか?

最初に書いたやりたいこと、野球についてのデータ分析を行い、それについて魅力的な文章で伝える ことが モラルという価値観を世に広めるのが仕事の目的である に合致する or 合致しないって判断が難しくない?

疑問4. 仮に"本当にやりたいこと"が見つかったとして、その先の行動で稼げるのか?

この著者、本当にやりたいことを見つけた後のことは多くを書いてくれていません。本当にやりたいことを見つけさえすれば、自然とそちら側に向かうことが出来るはず、というロジックです。

それはそうかもしれないけど、例えば、

  • 好きな事:野球
  • 得意な事:人を面白くさせる
  • 価値観:誠実

の場合、手段としては youtubeで野球動画を配信する、ただ炎上狙いのものではなく誠実に野球の面白さを伝える動画を出す となる。

ただyoutubeはサムネ詐欺や内容を薄めた動画を出すなど、誠実じゃない方が儲かる仕組み。本当にやりたいことだと稼げるか?

疑問4. に対する仮設

仮説1. 著者の目的は「稼ぐ事、成功する事」ではなく「本当にやりたいことをやり、満ちた状態になる事」である

本の中で「自分は月に100万円稼いだけど満ち足りなかった。もっと稼ぐことは出来たが、今は"本当にやりたいこと"をやっていて幸せだ」という記述がある。よって著者的には稼げなくても、自分の本当にやりたいことを発見して、それを仕事にできれば収入はそこまで気にしなくてもオッケーなのかもしれない。

仮説2. youtubeという手段を先に考えたが、自身の 本当にやりたいこと を考えれば、動画ではなく別の手段(例えば同人誌など)になるのが自然である

手段は後で考えろ、と著者の中で主張している。というか、本当にやりたいことが見つかれば、手段はトライ安堵エラーでいろいろ試せばよい、と書いてある。仮に「誠実」という価値観が譲れない場合、「誠実」が通らない場所で勝負するのではなく、別の場所で勝負するべき。それが例え儲からない場所でも、となる。

いったんまとめ

このフレームワークのうち価値観の部分だけ腹落ちしなかったが、それも含めて役に立ついい本だった。好きな事×得意な事、の言語化はどこにでも流用できると思う。

価値観の部分に言及すると、外発的動機づけを意識しすぎると腹落ちしないのかな、と今は思っている。ただ、社会人生活が長くなればなるほど、外発的動機づけから逃れるのは難しい気がするな。

読書

Posted by tera