「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」を読んだ感想
blueskyに感想書いて、考えをしばらく寝かしたので。bsに書いた感想はこちら。
https://bsky.app/profile/teraco.bsky.social/post/3kvfid6kd4e2a
本の最初は明治・大正時代の背景から。そんなのはいいから、なぜ働いてると本が読めなくなるのか教えてくれ、と思いながら終盤の現代編に行くと「それは現代が自分探し・自己責任・新自由主義のもと自分に必要な"情報"だけを探しに行くことが推奨されマネー本や自己啓発本が流行った。半面、文化的な"読書"は知識や教養を手に入れる手段ではあるが、必要な”情報”の他のノイズも多く、現代人から敬遠されるようになった」と書いており、まさに前半部分の明治・大正時代の話をつまらなく読んだ"情報"収集民に向けたアンチテーゼのメタ構造になっていたのが一番の感心ポイント
半面、最終章で解決策として提示している案は弱いというか月並みな感じがある。最終章までに本書で書いてきた背景を説得材料にしているので一定の納得感はあるが、あえて月並みな表現に私が言い換えると「余裕を持とう」とかそういう話なので、最終章までの論理展開に感心した人はそう思うかもしれないし、感心しても我に返った人はそこまで共感しないかもしれない
本書だと少ししか触れられていないが、シリアスレジャーについての言及が面白く、少し掘り下げてもよいと思った。
シリアスレジャーとコンテキストスイッチ
考えを寝かしている間に思い浮かんだワードが上記です。
シリアスレジャー
- シリアスレジャーとはなにか?──「好きを仕事に」しない道をつくる|趣味研究者・杉山昂平 | 遅いインターネット
- 「趣味に生きる」の文化論―シリアスレジャーから考える | 宮入 恭平, 杉山 昂平 |本 | 通販 | Amazon
本書の後半に出てくるワードで、これがアンテナに反応した。シリアスレジャーとは趣味に本気で取り組む事。例えば、趣味でバイオリンをやっているが本格的な発表会に出ていたり、趣味でボランティアをやっていて、全国を行脚していたり。そういえば趣味でカードゲームをしていたら世界大会に優勝している人もいた。
私自身、スノーボードやゲームにかなりのめりこんでたこともあり、シリアスレジャーに共感する。仕事が生きるためのメインで余暇は筋トレやジョギングで仕事のための体力づくり、という生き方は、まぁあってもいいが私は嫌だ。
スノーピークやパタゴニア、バートンなどのアウトドアカンパニーは、趣味に全力で取り組む事が仕事への還元になる、という社訓(だったっけ?)だが、そのような考えに共感したい。
こういった私の思いを保管するための便利ワードとしてシリアスレジャーというのは良いなと思った。シリアスレジャー関連の他の本も借りてみようと思う。
コンテキストスイッチ
(文化的な)本が読めなくなるのは、仕事をする上でそれがノイズになるからだ
というのが本書の主張である。これ、文化的な本だけではなく映画や音楽など他の趣味でも同じと本書は話しており、これは私も実感する。仕事に熱中すると終わってからも数時間、下手すると翌日も仕事脳になってしまって家の事が出来なかったりする。
正直これは無駄なので、仕事が終わったら頭を切り替えて、家事や趣味に没頭するのが効率的であり、こういったコンテキストスイッチを素早く行うコツやその練習が出来ればいいと思った。
あるいは、1つ提案としては、何も考えずに頭を使わずにできる事を趣味にするとよい。例えばアウトドアや旅行である。どれだけ仕事脳であっても、予定に従って移動する事は出来るので「映画を楽しむ」「文化的な本を読む」よりは、コンテキストスイッチができなくても楽しめる趣味かな、と思う。
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