スノースポーツ(パーク遊び)のケガ率は低くて安全と主張したい
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スノースポーツ(パーク遊び)はケガが多いと世間的に認識され、職場や家族から「ケガするからもうやめな」と言われがちである。しかしながら、私としてはやめたくないので、スノースポーツ(パーク)はケガが多いわけではない、と何とか証明したい。
使うデータ
ちょうど昨年、facebookに有用な投稿があるので流用させていただく。
ケガする確率を算出する
1シーズン平均185人と言われても多いか少ないかわからないので、確率で計算する。つまり
- ケガした人数 / ゲレンデに行っていた人の合計
を計算すればケガ率がわかる。
上記facebookの投稿では 南魚沼市 + 湯沢町のけが人の合計 なので、 1シーズン当たりの南魚沼市のゲレンデの利用者数 + 湯沢町のゲレンデ利用者数を合計 すれば計算できる。
これらのデータは新潟県のホームページから閲覧することができる。
ざっくり見たところ、南魚沼市のゲレンデの利用者数 + 湯沢町のゲレンデ利用者数の合計は 300万人程度であると言える。
- ※1 ここ1,2年はコロナで200万人を割ることもあったが、元facebookの投稿が「10年間のけが人の合計」と書いてあるので、コロナ以前の来場者を基準に算出させていただく。
- ※2 毎年コンスタントに300万人というわけではなく、280万人だったり330万人だったりするのの平均をとって300万人とした。
ケガ率を計算する
185人 / 300万人 = 185 / 3,000,000 = 0.00617%
やった!スノーボードしてもケガ率は0.00617%だからめちゃくちゃ安全じゃん!
そんなわけない
残念ながら現実にはそうはならない。考えてもみれば、苗場にファミリースキーしに来てるような家族が救急車で搬送されるようなケガをするだろうか、という話である。また救急車のお世話にならないケガはカウントされていない。この2点について考えていく。
救急搬送レベルのケガをするのはパークユーザーだけ
ファミリースキーヤーもケガするかもしれないし、アルペンレーサーで救急搬送されるかもしれないが、ゲレンデで運ばれるのは代替パークでケガした人である。と考えると、300万人中、パークユーザーが何人いるかを考える必要がある。
これはデータがないのでざっくりの推測であるが、5%程度ではないだろうか?完全に感覚値だが、普通の時期にゲレンデに行けば20人に1人くらいがパーク回ししている人、と考えて多すぎるくらいではないだろうか。
つまり、300万人の5%は15万人。これで計算しなおすと
185人 / 15万人 = 185 / 150,000 = 0.12333%
となる。
そもそも、骨折程度は救急搬送されないので統計に入っていない
facebookの統計の185人は救急車で病院に行った人数である。つまり友達と滑っててケガしてて、友達の車で病院に行った人数はカウントされない。普通に腕を骨折した程度ならば救急車を呼ぶまでもないので、185人にはカウントされない。
それでは骨折・脱臼・靱帯損傷など、救急搬送されないが病院の世話になるケガはどれくらいあるのか?これもデータはないが、一般的なヒヤリハットの分布を示したハインリッヒの法則によると、1件の重大な事故の裏には29件の軽微な事故がある、とされている。
ハインリッヒの法則とは?日常におけるヒヤリハット事例|HOME ALSOK研究所|ホームセキュリティのALSOK
よって、185件の重大な事故(救急搬送レベル)の裏には29倍の5365件の軽微な事故(骨折、脱臼、靱帯損傷)が隠れているといえる。
となると、
(185人 + 5365人) / 15万人 = 5550 / 150,000 = 3.7%
となる。
他にケガが多そうなスポーツと比較する
他のスポーツもケガするから、スノーボードも同じでしょ!と言い張る戦法。しかしながら、グラウンドや体育館でやるスポーツで、ここまでケガ率が高いスポーツはなさそうである。
引用資料として適切かは微妙だが…柔道事故で犠牲となる子ども達という資料で問題視されている柔道でも、10万人中4人 = 0.004%である。まぁこれは死亡率であるし、そもそも学校の中で1人たりとも死亡者が出るのはダメでしょ、というのはあるが、ここの表にある他のスポーツを見比べてもスノーボードよりケガ率が高いものはなさそうである。
ということで、頼みの綱(?)と言えるアウトドアスポーツですが、ケガ率が出ているのは登山である。
山岳遭難事故の確率 – 豊後ピートのブログ 山岳事故(遭難事故)の確率は何%?
で、長野県内で起きた山岳遭難事故は139件。遭難者は158名です。この数字から大雑把に計算すると、山に登りに行って遭難する確率は0.026%となります。3734人に1人が、事故に遭う計算です。
引用の通り、遭難率は0.026%。
確率まとめ
評価 | 確率 |
---|---|
救急搬送レベルのケガ率 | 0.00617% |
救急搬送レベルのケガ(ケガするのがパークユーザーのみ想定)率 | 0.12333% |
救急搬送レベルのケガ+それ以外のケガ(ケガするのがパークユーザーのみ想定)率 | 3.70000% |
山岳遭難率 | 0.02600% |
結論
- 普通に滑る分には、世間のイメージほど意外とケガしない。山岳遭難率以下。
- データにはないが、推測レベルだと飛んだり跳ねたりスピード上げたりすると、リスクは跳ね上がると思われる。
- データにはないが、救急搬送レベル以外のケガも考えるとケガ率は高そう。
説得方法
当初の目的通り、スノースポーツ(パーク遊び)はケガが多くない、と主張したいのですが、あまりよくないデータがそろってしまいました。仕方ないので、以下のように主張してみるのはどうでしょう?
「ゲレンデでケガして救急車で運ばれる確率は0.00617%、山登りして遭難する確率が0.026%だから山登りより全然安全だよ」
これは真実ですが、以下を隠しています。
- 救急車で運ばれないケガは考慮外
- ケガするのはほとんどパークユーザーであるというのを考慮外
これで騙せたらいいですが「お前、パークで飛んだり跳ねたりするだろ」と言われると厳しいです。反論として「アルペンレーサーがかっ飛ばしてケガしてるんだよ」とか用意しておくとか…。
あと体感で言うと、1件の救急搬送レベルのケガの裏に29件の骨折・脱臼・靱帯損傷などのケガがあるか?といういうのも疑問でもっと少ないのではないか?ここら辺は、湯沢町・南魚沼市の病院の診察データがあればもっと精度高く分析できると思います。
実際にケガしないのが重要
いくらデータで主張しても、実際に本人がケガしてしまったらそれが事実になるので、ケガしないのが重要です。私が心がけてるのは以下です。
- 15時くらいはケガ率が多いので無理しない
- コケた時のイメージできない事はやらない
- 安全マージンを取りつつ、長く滑れるように心がける。スノーライフの継続大事。
余談:救急搬送レベルのケガとは
実は私も湯沢市のスキー場でケガして救急搬送された事があるのですが、その時は腰椎圧迫骨折 + 右肘頭骨骨折で手術 + 1週間寝たきりでした。他にも救急搬送された友人が車いすになったり元のように滑れない、というのも見てきました。つまり救急搬送されるケガ = 良くてシーズンを棒に振る、悪くて一生滑れない、なので、マジで甘く見ない方がいいと思います。
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