“分かりやすい資料”というもの
最近資料作成やレビューをしていて思ったことです。
前書き
「ミーティングで使う資料は事前に送付しておいてくれ」と言われて送っても、結局資料は読まれない。だがこちらも怒る事はない。なぜなら期待していないから。自分も送付された資料を読んでもよく分からず、対面で説明を受けて初めて理解できたことが多い→対面で説明を受ける方がよい、という経験からである。
しかし最近本当に優れた、読むだけで分かる資料の存在を認識し始めている。
例えば以下の資料はすごく分かりやすかった。
今は仕事でこのクオリティの資料を作ろうとしている。
“資料だけで分かる"資料の難しさ
簡単に作れるものではない。なぜなら私は今まで口頭で説明をする前提の資料しか作ってこなかったからである(※1)。レビュワーに"もっと分かりやすくしてよ"と指摘されても"分かりやすく"の意味が全く分からなかった。なぜなら、私の中では十分に"分かりやすい"資料なので、何を直せばいいか分からなかったからだ。
それでも半年ほど経つと目が肥えてきて、今までの"分かりやすい"との違いが分かるようになってきた。以下の図の"Lv3 資料だけで説明できる"資料の存在を認識し始めた。
資料レベル | 今まで | これから |
---|---|---|
Lv1 資料+口頭で説明できない | × | × |
Lv2 資料+口頭説明できる | ○ | × |
Lv3 資料だけで説明できる | -(存在を認識していない) | ○ |
違いが判ると、本当に"分かりやすい"資料には感動さえ覚える。例えるなら、舌の肥えてない子供に北海道のウニを食べさせても違いが分からないが、大人が食べると感動して、ウニが嫌いな人も好きになってしまうようなもの。
今までの自分は資料を作る時もレビューする時も、内容が正しいかどうか・口頭説明して詰まらないかを中心にレビューしていた。以前までの職種ならそれでよかったのだが、今は違う仕事をやっているのでそれでは不十分である。
※1 SIerの現場あがり、その他現場系の人たちは全てそうだと思うが
レベル3資料の条件
まだ自分でこのレベルの資料は作れないが、どういったものが"分かりやすい"のかは説明できるようになってきた。一言で言うなら誰が読んでもストレスがない事である。(※2)
このような資料は結果的に以下のような特徴を持つ
- 何が言いたいかが常にわかる
- 伝えたいメッセージがはっきりしている
- 誰かが説明しても同じような結果が得られる
- 不要なメッセージが挿入されていない
- 同じようなスピードでスライドを読み進めることが出来る
※ 2 “誰が"というのは、その事柄に興味を持つ人全て、である(さすがに「日本最大の資源」とは何か。人事が変える日本の未来の資料を"日本の働き方"に興味がない人がストレスなく読み進めるのは難しい)
“レベル3資料"の作り方
今までレベル2資料のものしか作ってこなかった人が、レベル3資料のものを作るのは難しい。なぜなら存在すら認識していなかったのだから…。そのためには、資料レベル3を作れる人にレビューしてもらうのが一番だが、周りにいなければレベル2資料を元に口頭説明した内容を録音して資料化するがお勧めである。
現場系の人が作る資料は、口頭で説明するイメージを資料に落としただけ(つまりスピーカー用のカンペ)である。自分とコンテキストを深く共有している人、例えば同じプロジェクトのエンジニアや、お客様の担当者ならカンペを読めば言いたいことが分かるが、お客様の上司には分からない。だからお客様の上司がミーティングに出席している時は、資料にない内容を口頭で補足説明しているはずである。その内容が"レベル3資料"になるはずである。
“レベル3資料"サンプルの探し方
企業の公的な発表資料や、IR資料が参考になる場合が多いです。特にソフトバンク系の発表資料は分かりやすく参考になる場合が多い。反面教師も多いが…。
ちなみにエンジニア向けカンファレンスやコミュニティでの登壇資料は"レベル2資料"である場合が多い。メインはスピーカーの"しゃべり"であり、資料は"しゃべり"を補足するためのものである。よく、有料イベントの資料が後日公開されて「んじゃ行く意味なかったじゃん」となったりするけど、それは違います。
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