業務内容の変更について
ここ半年くらいで新しい業務をやっているので、心境の変化をメモ。
Contents
今まで
案件型エンジニアで、顧客に提案したり、受注したプロジェクトをまわしたり。
これから
サービス開発エンジニア。内勤、顧客の顔見えず。
大きな違い
今までは実在する顧客に言われたことをやる、これからは実在しない顧客を想定し商品を開発する。
モチベーションの上げ方
最初はやりがいが分からず、モチベーションを上げるのが難しかった。なぜなら案件と違って顧客に自分の知識を提供し「良く知ってるね」や「なるほどね」など言われる機会がない。むしろ、サービス開発は多数の顧客を狙える商品を作るため、多くの顧客にとって「そこそこ」程度の商品が一番広く売れてよい。頭ではわかっているが、いや分かっているからこそ、どこでモチベーションを上げるのが分からなかった。
もう1つ。サービス化するということは、ある程度安定的に供給できなければいけない。案件専任のエンジニアが、顧客用にゴリゴリカスタマイズしたシステムを入れて、何かトラブルがあってもエンジニアパワーで解決というのができない。…となると、必然的に多少枯れた製品を対象に、サービス化をする。今まで自分なりに最新の技術を勉強して顧客に提案してきた身としては、技術的好奇心が満たされず、物足りなさを感じていた。
この2つを例えると、予約制高級レストランと大衆向けファミリーレストラン。予約客に合ったオリジナルの料理を作っていた料理人が、ファミリーレストランのメニュー開発に異動したようなもん。
案件型とサービス開発型の違いまとめ
– | 案件型 | サービス開発型 |
---|---|---|
身近なレビュワー | 顧客 | 自社営業、上層部 |
作るもの | 顧客自身にぴったり合うもの | 世の中のニーズに合うもの |
利用技術 | 顧客の要望に応じて | 世の中的に一般的なもの |
例えるなら | 予約制高級レストラン | ファミリーレストラン |
うれしいもの | 顧客からの感謝の言葉 | ??? |
何がうれしいか分からずモチベーションの低下を感じていたのが数か月前で、今は考えも変わってモチベーションもそこそこです。
技術志向より業務志向
技術を知っているのは当然で、それを使ってどう顧客の業務課題を解決できるかを考える。…そんなのはどのエンジニアでも基本なのだが、顧客が技術を求めるため、どうしても要求が技術寄りになっていて、顧客業務の視点を忘れがちだった。業務が変わってからしばらくエンジニアの視点が残ってたが、だんだんと顧客業務の視点が強くなってきた。
世の中の顧客が業務で困っていそうな課題を考え、顧客が考え付かないようなサービスを提案する。「あ、これ、欲しかったものかも?」と思わせる。これが面白くなっている。顧客がほしいのは技術知識じゃなく業務解決のための商品である。
サービス開発のために枯れた技術に向き合う
顧客要求さえ満たせれば必ずしも枯れた商品じゃなくてもいい事に気づいた。つまり、製品のうちの枯れている部分や基本機能だけを突き詰めて商品化することもできるし、枯れている製品といっても案件では設定値を全て考えて導入しているわけではなく、サービス化にあたって今まで気にしてなかった機能を調べ始めて、新たなセオリーに気づく場合もある。そういった視点で製品に向き合うのは、今までのSIのセオリーを壊すような取り組みでもあり、楽しい。
プロセス設計
昨今のSIerが繰り返し口にする「リソースがない」を解消できるのがサービス化である。綺麗に設計されたサービスは、エンジニアの手を離れ、オペレーションだけで提供できる。こういったサービスを目指してプロセス設計をする面白さに気づいてきた。まさにここはファミリーレストランや牛丼チェーンの知財の粋であり、他社のサービスの外側だけパクっても上手くいかないのは、すき屋の「牛すき鍋事件」が証明している。
吉野家の「牛すき鍋膳」が成功し、すき屋の「牛すき鍋定食」が大失敗したのは何故か?すき屋の失敗の本質に関する考察 – Togetter
吉野家の牛すき鍋膳は、たとえば一般的に居酒屋等で使用される「鍋」だと、結構背高で運ぶ際に安定性を欠くので、背が低いものを探してきたのだという。こういうところから一つずつ組み立てて、新商品を慎重に設計してきたというのが、関係者が異口同音に話すことであった。
— 【手を洗え】ktgohan (@ktgohan) August 1, 2014
結果、人時客数を大きく低下させることなくオペレーションを回す目途がたち、鍋の人気化に伴って来客数が増大してもある程度店を回し切ることが出来たという。客単価も大きく向上し、結果として吉野家の業績向上に大きく貢献した。
— 【手を洗え】ktgohan (@ktgohan) August 1, 2014
少しして、すき家が「牛すき鍋定食」の投入を発表したとき、最初は彼らは悔しがったそうだ。こんなに早くキャッチアップされたのか、すき家も手が早いな、と。
— 【手を洗え】ktgohan (@ktgohan) August 1, 2014
すき家が発表した商品イメージを見て、その認識は一変したそうだ。特に什器が専用化されていない。うちが早々に諦めた方法でやろうとしている。あれ危ないんじゃないか、と。
— 【手を洗え】ktgohan (@ktgohan) August 1, 2014
結果はご覧のとおりというか、他社関係者の予想をはるかに上回る勢いで店が荒れた。
— 【手を洗え】ktgohan (@ktgohan) August 1, 2014
関係者
不特定多数の顧客に対するサービスの場合、
- サービス開発に投資する会社
- イベント担当の広報
- サービスを売り歩く営業
- 弊社のサービスを販売する他社の営業
など、関係者が増える。その人たちに正しく理解してもらえる、ひとり歩きしてもOKな資料を作る必要がある。正直、自分が分かっていることを資料だけで相手に伝えるのは面倒だが、全員に1対1で話せるわけではないので仕方ない(案件だと、顧客も含めて関係者が少ないし、対面説明の機会もあるので、資料の精度はそこそこでしゃべりでごまかせるので楽)
ただ、その資料が正しければたくさんの人の力でサービスを拡販できる。と考えると、しっかりとサービスの魅力を説明して、正しく販売してもらう事が重要だな、と思えてきている。
まとめると
キャリアチェンジしてしばらくは何を面白いと感じて仕事をすればいいのか分からなかったが、最近はなんとなく見えてきたので、面白いと思える箇所に取り組んでよりスキルアップしたいです。
注:自分から希望しての異動です
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