池の平スキー場でJSBAバッジテスト1級に合格した件

受かりました!
前回の二級の時のレポをいろんな人に発見されたので、開き直って検索に引っ掛かりやすいようなタイトルにしたよ!
### バッジテストとは
日本スノーボード協会の主催するスノーボード検定試験。
《バッジテストのご説明》 JSBA Official Site
1級から5級があり1級が最高。1級に合格するとC級インストラクター試験の受験資格が得られます。C級イントラ試験は
1級さえ持っていれば2日間の講習を受講するだけで取得可能です。
※ このエントリを読む人はバッジテストに興味のある人だと思うので自重せずに長文です。
### 点数をどうぞ
|*種目*|*点数*|
|ショート|70(±0)|
|フリーラン|71(+1)|
|ロング|69.5(-0.5)|
|エア|72(+2)|
|計|282.5(+2.5)|
でした!280点で合格の所を282.5点です。
### ショート
事前講習で
* バックサイドターンが右足で漕ぐようなスライドターンになっている。
* 運動が弱い。
* ヒールからトゥへん切り替えが遅い。
と指摘を受けたので
1. バックサイドターンの時に両足でグリップする
2. 立ち上がり、沈みこみの運動を見せる
3. ヒールからトゥへの切り替えの際に遅れないようにする
の三点に注意して滑りました。ただヒール→トゥを意識するとトゥ→ヒールが、トゥ→ヒールを意識するとその逆が、とターンが安定しなかったので、体主導で左腰(の腹筋)を使って板を回しこむように滑りました。(体を使うとリズム・バランス共に良くなるため)
結果、ターン弧も均一で注意点もちゃんと守れたショートターンができたように思います。納得の70点。ただ体主導なのを見抜かれて**「本来はターンは板に働きかけるものであって、体主導で回すのではない」**と指摘を受けました。点数目当てで自分の滑りを捨ててしまった結果です。
### フリーラン
通常はショートの後にロングをするのですがコースの関係でフリーランが先でした。事前講習の時点で板が走らなさ過ぎたので、まずはスピードに乗っていこうと思いフォールラインに落ち込むようなプレターンからロングターンでスタート。3ターンしたところでショートに切り替え、スピードを落ち着かせたところで斜滑降からグラトリ(F180)入れてスイッチロングターン。これを2ターンした後、グラトリ(CAB180)でレギュラーに戻してショートターンで調節してゴール。
・スイッチフリーランについて
元々やるつもりはなく、当日練習でもしゃば雪に刺さって転んでたりしたんですけど…。本番前の練習でスイッチ・グラトリ共に調子が上がってきたこと、本番1時間前くらいから曇って斜面が固くなってきたりフリーランしやすくなっていたので入れました。スイッチフリーランはともかくグラトリはほんとに最近やってなかったので上手く決まって良かったです。ここらへんは元々の下地に助けられたかな…と。
### ロング
二級の時にプレターンが短くターン数が多くなってしまったこと、フリーランと同じくスピードに乗りたかったことからプレターンを多めにとったのですが、今回の検定ではロングターンの距離が短くターン数不足になりそうでした。や、ちょっと距離が短いな…とは思ったのですが。
結果的にゴールエリアの直前で4ターン目を開始しターンし終わったところで急停止しようと思ったのですが止まりきれずにこけちゃいました。結果的にはゴールエリア内の転倒ということで(?)点数には影響なかったみたいですが、**止まりきれずに転倒とか初心者じゃあるまいし**とショックで**うぉぉぉぉ自分クソボケ木の葉滑りからやり直せぇぇぇ!**という感じでした。(転んだ原因は荒れた斜面に対して両足で均等に荷重してしまったことでした)
で、それが減点じゃないなら-0.5点は何かというと、ベーシックターンではなくプレスターンっぽい滑りになっている箇所があったみたいです。ベーシックターンとは本来、
1. ターンの仕掛けで板を踏み始めて
2. ターンのピークで板を最大に踏み
3. ターンの終わりに掛けて徐々に荷重を緩めていく
というものなのですが、僕はターンの仕掛けでいきなり板を最大に踏んでそこから足を伸ばして荷重していくような動きになってしまっていたみたいです。その動きが滑りとしていいか悪いかはともかく、検定では指定された運動をしないとダメなので減点は当然だなぁというところです(合格後の講評で「ベーシックターンの意味をもう一度確認してくださいね」と言われました)
### エア
F1インディをしました。F1でプラス1・インディグラブでプラス1の2点加点でした。ロングの時点で落ちたと思ったので勝負したというのもあるのですが**F1インディみたいな初歩的な技を「転ぶかもしれない」と恐れて回避するなんて他人が許しても自分が許せない**という妙なプライドでやってしまいました。自分に負けるのは一番嫌だし守りに入って合格しても後悔しそうなのでチャレンジして良かったけど、最近F1インディの調子が悪く事前練習でもメイクできなかったりコケたりしてたので、今考えればよくやったなぁwと思います。
事前練習で最初メイクできなかったF1インディを飛ぶうちに調整して本番で成功できたというのは良かったです。ただちょっと早抜けで右足の踏み切りが弱くて飛距離・高さは出なかった。検定ならF1インディだけで加点をもらえるんだろうけど、エアの大会なら「いい飛び」とは見なされない。まだまだだな、と思ったし本番一発で自分の力を出し切れないのは自分の弱さです。
### 合格後の感想をどうぞ
ほっとした、というのが正直なところで。前に日記で書いたとおり俺の滑走日数的には合格しなきゃいけないレベルだし、もし落ちたら運転免許の仮免試験で落ちるくらい(自分の中では)恥ずかしいことだと思っていて、今考えれば検定で感じたプレッシャーのほとんどが「一発で合格できないとヤバい」というものだったかも…。
1級に合格した嬉しさよりも、ショートターンで点数目当てで小さくまとまってしまったりロングターンなどで言われた事ができなかった、エアで力を出せなかったという悔しさの方が強いです。
### 1級は難しかったですか?
うーん…。**合格するだけだったら2年前の時点で受かってたと思う。**や、「2年前の時点で滑りが完璧だったぜ!」ってのではなく、ロング・ショートを落として69点だったとしてもエアで72点取れば受かっちゃうテストだから。エアで加点取った自分が言うのもなんだけど、「ちゃんと滑れる」というのを評価基準にするなら検定種目にエアは入れないほうがいいんじゃないかなぁと思いました。
ただエアの件を抜いたとしても、検定のためにがんばったなら(今より苦労したとしても)2年前の時点で取れてたんじゃないかなぁ…と思います。下で書くけどバッジテストでは「カービング」ではなく「ベーシックターン(※)」ができるかどうかを見られていて。普段練習してない状態で「ベーシックターンしろ!」って言われても難しいけど、自分の狙い通りに板を動かす・板を踏めるレベル人なら、ベーシックターン用に滑りを調整することで合格するんじゃないかと思います。
※ 左右均等のターン弧でターンに合わせてストロークを出すようなターン。
・環境面の話
2 級も1級も池の平(妙高高原スノーボーディングスクール)で受講しました。他の所で受けてないので何とも言えないけど、池の平に限ると事前講習での指示・判定基準ともに具体的。ロングでの減点も納得のいくものでした。また検定終了後のアドバイスも詳しくて次の滑りに繋がりました。場所によっては事前講習と検定員が違って事前で言われた事を直しても点数が伸びない事があるらしいけど、池の平では2級の事前・本番、1級の事前・本番の4回とも同じ方だったので指導基準が統一されていて良かったです。あと…なんていうかな。検定員の方が怖い人だったら嫌だなぁと思ってたのですが、みなさん優しいお兄さんお姉さんでアットホームな雰囲気で受講できて良かったです(何を言っているんだ俺は)
検定に関してはいろいろ噂があって一度落ちても違うゲレンデで受ければ受かることもあるとか中部地区のJSBAより関東地区の方が取り易いとか**車山高原まぢ楽勝**(ほんとかよ)とかあるらしいのですが**俺はそういうセコい作戦で1級を取りたくなかったので**ホームゲレンデで正攻法で取れてのは良かったです。
### バッジテストに取り組んで良かったですか?
うーん…。**良かったかな。**そもそもの目的は**バッジ1級の人ってどの程度滑れるの?**って事を知るためでその目的は達成できたし、バッジ受験の過程で自分の滑りで苦手な所を指摘してもらえた事、ターンにはいろいろな種類があること、バッジテストに取り組むことで身に着くスキル・身に着かないスキルが分かった事が良かったです。もちろん「1級合格した」って事実も収穫だと思います。ボード友達に自慢することはないけれど、知らない人に説明する分にはやっぱり楽ですし。
### バッジ1級の人ってどの程度滑れるんですか?
人によるかな。今回受けて思ったのは**1級合格者でも実力にムラがあんじゃないかな?**ということでした。実力にムラがある、というのは正しくないな。**ちょっとくらい不得意があっても合格するような試験**だと思います。例えば俺だったらバックサイドターンが苦手だし、他の人は他の人で苦手な所があったかもしれない。とにかく**A級・B級インストラクターの人からすると1級合格程度の滑りじゃぁ指摘するところだらけ**でしょう。1級=すごい!滑り完璧!というのではなく、バッジ1級合格できたレベルの人、という認識が正しいと思います。
あとやっぱスポーツのテストなので水物です。例えば10回に1回しか1級レベルの滑りができないのに本番でその1回が来て合格しちゃうこともあるわけで…。雪面コンディションにも左右されるし、2日に渡って実施されるB級イントラ試験に比べると(誤解を恐れずに言うと)運・不運がある試験だと思いました。
イントラの友達も言ってたけど1級合格程度じゃ"インチキ"ラクター。B級に取り組み始めてやっとC級インストラクター、B級合格で一人前のインストラクターというのが実際の所なのかな…。
### 友達にバッジテストに取り組むように勧めますか?
うーん…。人によるかな。大前提として俺は**普段フリーランをする時は適当に滑るんじゃなく何か意識して練習するべき**だと思ってます。だって**週に2回しか滑れないサンデーボーダーだからどんな斜面も無駄にしたくないじゃないですか。**「俺はパークしかやらないから…」ってリフトからパークに行くまでの斜面をちょろちょろ滑って無駄にするより、そこで板を踏む練習とか前足・後足を長く使う練習とかやった方が絶対上手くなると思います。
そういう意味でフリーランに問題意識を持って上手くなろうする姿勢は大賛成だし、フリーランも不十分なのにパークばっかりで「上手くならない…」と言ってる友達には是非勧めたいんだけど…。バッジ合格まで目指すのか?って言われると…うーん、という感じ。
スノーボードに取り組む以上「上手くなりたい」とか「キレイな滑りをしたい」というのは誰もが思うところなんですけど、その理想像が誰なのか?フリーランを意識するきっかけとしてレッスンを受けるのはすごくいいと思うんですけど、そのまま時間を掛けてベーシックターンを練習することが本当にやりたいことなのか?と。
好きでボードやってるんだから楽しいと思うことやるのが一番だし、本当はパークやグラトリがやりたいのに検定って枠に縛られて滑りの幅を狭めるのは違うと思う。もちろんベーシックターンに取り組むことで全体的な滑走レベルは上達すると思うんですけど、何かやりたい事のために技術を学ぶのであって、技術のために技術を学ぶのは違うなぁと思います。初心者でもパーク入ったりパウダー滑ったりすればいいし、やりたいことやればいい。そこで壁にぶつかってどうすればいいか考えた結果、バッジテストに取り組もうとなるのは全然OKなわけで。
もし悩んだならスクールに行って「自分はこういう滑りがしたいんですけど、バッジに取り組むことで実現できますか?」って相談してアドバイス貰うのが一番だと思います。こんなブログよりよっぽどピシっとした答えが帰ってくると思います。
### 「テラさん1級なんですよね!?カービング教えてください!」と言われたら?
別にいいけど…1級持ってるから、って理由は違うのかな、と。上でも書いた通り1級の人って「ベーシックターン」ができる人なんですよね。で、1級時点においては「滑りのかっこよさ」は求められてないので、ベーシックターンはできるけど傍から見るとかっこ悪いフォームかもしれない。もし「カービング=スタイルの出たかっこいい滑り」という認識なら、それとはちょっと違うかもしれないよ、という話。
何がいいたいかと言うと**1級とかに関係なく自分がかっこいい!と思う人に聞きに行けばいいんじゃないかとおもいます。**例えば俺は俺なりに「綺麗な滑り」の定義を持ってるしそれは教えられるけど、それって1級受けたから身に付いたもんじゃないし。逆に1級持ってなくても自分なりにスタイル追求してる人なら滑りの引き出しが多いかもしれない。
つまり「かっこいい滑り」ってのが主観過ぎるんですね。A級・B級インストラクターのような美しいターンをカッコいいと思う人もいるし、脱力系で縦に滑り降りるフリースタイラーをカッコいいと思う人もいる。バッジテストというのは**正しい滑りの一種**だと思っているので、1級だからお手本にするべき!ということはないと思います。
…なんかバッジを否定的に書いてるように取られるかもしれないけど、イントラの友達が真剣に取り組んでるの知ってるしテクニカルの上手い人の演技はまぢでかっこいいと思う。…というか**興味なかったらバッジ受けてません。**ただ、中にはバッジテストが唯一正しい滑りだ、とか思ってる人もいるみたいなので「そうじゃないと思うよー」って意図で書いてます。
### C級イントラは取りますか?
迷い中。正直インストラクターとして教えたい、というのは全くないのですが(すいません)C級イントラの講習には興味あるし折角1級取ったんだからC級イントラ取っておいたら、という思いもあり。ただ教える気がないのにC級イントラ受講するなんてなんか悪いなぁ…とは思ってます。
### B級イントラ以上を目指しますか?
今のところは目指しません。なぜなら**今の実力でB級を取るためにはかなりの練習期間が必要であり、僕にはもっと他に練習したい事があるから。**ウォーミングアップのフリーランで意識して練習するとは思うけど基本的にはパークをがんばりたいと思います。ターンを使い分けて雪面を滑る楽しみはあるし取り組みたいとは思うけど、ゲレンデに居られる時間は有限なのです…><
### 最後に一言
いろいろ辛気臭いこと書いたけど、受かった後はやっぱ嬉しくて普段買わないお高いデザートを買ったりしました♪1級取れなくてやきもきしたり、早く合格して楽になりたいという気持ちは分かります。ただスノーボード楽しみつつ取り組めばそのうち取れるものだと思うので、焦らずに1級取る過程を十分に楽しんでくださいね。