「ウォール街のランダムウォーカー」読了
骨折しているので本を読みまくる第1弾は「ウォール街のランダムウォーカー」。各所で「金融投資を行うときの基本」と評されてます。…といってもだいたいの感想は「手数料の低いインデックスファンドを買ってずっと持つのが一番儲かるよ~」で纏められてるから読むの楽しみでした。
Contents
■感想
インデックスファンドを賞賛するだけの本かと思いましたが、さまざまな投資法や株式投資以外の金融商品も過去数10年のスパンで研究されていて大変面白かったです。と同時に、インデックスファンドは儲かる確率が一番高いだけで、他の投資方法を全否定はしていませんでした。
著者がインデックスファンドを支持する理論をまとめると
- 市場は効率的である
- 不自然と思われる価値評価(バブル景気やサブプライムローンなど)も、時間が経てば必ず効率的な価格に戻る
- 効率的な価格から離れたときに投資すれば利益が得られる。
- しかし投資するときの価格が効率的な価格でないか否かはその時点では分からない。
- よってインデックスファンドを買ってずっと持っておくのが一番確率の高い投資方法である
※効率的=多くの人がその商品に注目していて商品価格が適正な水準となっている状態。他人を出し抜いて儲ける事ができない。
つまり、運がよければ掘り出し物を探し当てて大もうけする事ができるが、確率や労力、取引手数料を考えるとインデックスファンドが一番ベターだよ、と言っているのである。
■儲けのチャンス
しかし確率はどうあれ儲けられる可能性があるという事実がある。著者もインデックスファンド以外の金融商品(クローズド・エンド・ファンド)に投資して儲けたことがあると書いている。また本の中で「『ダウの負け犬』戦略」というファンドの話があった。ある法則について取引を行うと儲けられる事を発見し、その戦略を書いた本を出版したら員同じことを真似され破綻した、という話しだ。裏を返せばその理論が広まるまでは有効だったのだ。
また著者は
私は真の価値がいずれは行き渡ると信じているが、時には皆が真の価値に気がつかない状態も存在しうるのである。(~中略~)そういう時にはもちろん、私は躊躇なくランダム・ウォークの歩みを止め、さっさと拾うに違いない
こんな事まで言っている。
以上より、市場参加者全員がこの本を読んだとしても
- まだこの商品は効率的じゃない(と俺が思う)から、今買えば儲けられる!
- 俺が発見したテクニカル理論は誰にも知られてないから有効
- 「市場は参加者の心情によって動く」から行動ファイナンスを極めれば参加者の裏をかけるかもしれない
と、一攫千金を夢見る人間は減らないと思う。この本ではそういう人を否定せず、「市場平均に勝つのは難しいだろうが、自分の目で運用したい気持ちも分かる」と言っている。
では果たして自分で選んだ金融商品でインデックスに勝つにはどうすればいいのか?ここでは詳しく考察しないが、少なくとも一般人がパソコン1つでアクセスできるデータだけでは難しいのと僕は考えている。
■まとめ
いろいろな可能性が書いてあり、読者に単一の結論は与えてくれない。それが読み手を(よい意味で)迷わせ、それぞれの投資理論に深みがでるのかなぁと考えます。この本を読んだ事で自分の考えが180度変わったり目から鱗が落ちたりはないと思いますが、考えさせられる材料を与えてくれる本だと思いました。
…しかしこの本は難しい!さくさく読めない!最低限、他の入門書を2,3冊読んだ上で挑戦するレベルだと思う。自己啓発本初心者に「7つの習慣」を読ませたり、プログラミング初心者にオライリー本を読ませたりすると挫折するのと同じで、初めて株式投資をする人には全くお勧めできません!
日本経済新聞出版社
売り上げランキング: 3036
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません