白夜行、読了。

白夜行を2日で読みました。昨日4時間、今日3時間。全部で840ページなんで120ページ/時くらいでした。以下感想です。ネタばれあり。


うーん。むちゃくちゃ後味悪いっすね。というか納得できねっす。テレビ版を見ていたから知ってたけどあのラスト、救いがなさ過ぎる。最後の40ページの解答編で「亮司と雪穂は運命共同体です」みたいな複線張ったのにねぇ…。

結局雪穂は亮司とは利益のために利用しあうような関係だった(少なくとも雪穂は亮司の事をそういう存在として捕らえていた)のかな?それとも、心の中では最愛の人である亮司の死に直面しても、感情を表には出さなかった(or出せなかった)だけなのか?あの事件があってから19年間人を騙し嘘で塗り固められた人生を歩んでいく中で人としての素直な感情を出せなくなってしまった。それが最愛の人(ここらへん全部想像するしかない)である亮司の死に直面しても、他人のフリをして偽りの仮面を被ることを選んだ。「愛」より「利」を選び続けるうちに、人と感情を失ってしまった女の悲しい物語なんだ…。

みたいな。

そこらへんの心理描写がないから想像に頼るしかないんだけど、個人的には後者であってほしいなぁ(←亮司と雪穂を美化したい人)。最終ページの「白い影」って表現はそれを暗示しているような気がするけど。作者的には「読む人に好きに捉えてください」ってことなんだろうな。

とはいえ小学校時代の図書館のエピソードや、高校時代のパッチワークのエピソードから少なくとも高校時代までは2人の間に愛情っつーか、いい関係であったことは推測できるけど、大学時代以降そういうエピソードが書かれなくなったことから、徐々にお互いの利益のためだけの存在になっていった…とも推測できる。
だって高校時代に菊池くんから写真取り戻すエピソードとかは、まぁ自分達の犯罪を隠すためってことで納得いくけど、大学時代に江里子を蹂躙したのとかどんどん利己的なものになっていくからね。つまり高校時代と大学時代の間が、亮司と雪穂に取って一つの転換点だったわけ。そこら辺から自分の利益のために相手を使うような関係になっていった。最初は自分達の身を守るために仕方なく犯罪を犯したのが、利益のために望んで手を染めるようになった。そういう生き方しかできなくなってしまった、って方が正しいかな。美化しようとしてるなぁ俺。

とか考察してみた。僕は登場人物の意図や心情をはっきりさせないと気が済まなくて「おもしれー」で終わることのできない人間なのです。

※どーでもいいけどこういうのは母親似なのかな。昔家族で「紅の豚」を見に行って、終わった後に母親が父親に「あの主人公、結局人間に戻れたの?」ってしつこく聞いて父が「戻れても戻れなくてもどっちでもいいんだよ!」ってキレてたのを思い出す。

しっかし雪穂。心理描写がないせいだけどその分逆に怖い。冷たい機械みたいな印象を受けたなぁ。自分を親友と思っている相手を蹂躙して、相手にトラウマを植え付けるエピソードとかホラーを読んでるような感覚で背筋が寒くなりました。人間であって人間じゃないような白い影なのかもしれない。

結論:雪穂怖かったです。以上。

やっぱあれだななぁ。火サスみたいに最後にざばーんと波が砕ける崖の上で犯人が独白、って展開が分かりやすくて僕にはいいかな(笑

白夜行
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