Edy,Suica,そして第三の電子マネー

結構前の話だけど、Edy/Suicaヘビーユーザーの僕にとっては気になるのでエントリー。

セブン&アイHLDGS.、プリペイド式の独自電子マネーカード、07年春導入へ

セブン&アイ・ホールディングス(セブン&アイHLDGS.、鈴木敏文会長兼CEO)は、プリペイド方式で、非接触型ICチップを搭載した独自の電子マネーカードの発行と、グループ各店舗で相互利用できるポイントサービスの提供に向けて検討を開始したと発表した。07年春の実施を目指す。

あーなるほどね。ローソンやAP/サンクス、ファミマがEdy/Suica,その他独自のポイントカードシステム採用してるのに、最大手のセブンは何やってるんだろうと思ったらこういう裏があったわけだ。

この時点では、セブン系列のグループが第3の電子マネーを採用するってニュースだけだったので「確かに独自の電子マネーを使えばロイヤリティ払わなくてもいいけどリスクが高すぎるよなぁ。ていうかますます不便になるし。セブンは確かに最大手のコンビニだけど危険な賭けだよね」とか思ったわけ。

まぁそれは普段電子マネーを使ってる利用者が持つ当然の疑問なんだけど、それに対する回答がCNETのブログで分かりやすく解説してあったので引用。

  • 国外も含めればグループ全体で3万店以上のセブン&アイ・ホールディングス店舗が存在する
  • セブン&アイグループの店舗は1日あたり約2400万人が利用している。
  • 郊外で存在感を持つコンビニ部門(セブンイレブン)でEdy/Suica陣営を圧倒している。

つまりセブングループ”単体”だけでも十分に普及のパイが整っているので、単体での独自電子マネー導入を決断したとの事。第3の電子マネーに付ける付加価値としては

  • 第3の電子マネーにはポイントプログラムが実装される。
  • JCBと業務提携を締結する
  • Yahoo! JAPANとの包括業務提携の検討を行っている

ポイントプログラムというのはグループ単位で第3の電子マネー(これ名前長いな)を導入するからこそできる制度だなぁ。

ただしEdy/Suicaとも(大々的に宣伝していないだけで)実質ポイント制度は存在するし、還元率も高い。EdyはANAのマイレージに変換することで約3%、Suicaは商品券交換で2%はいけちゃうので(ここらへんはクレジットカードの裏技系に入るので省略)。とはいえ「セブングループのどこで買ってもポイントが付く」というのは一般人に取っては分かりやすい訴求点。Edy/Suicaとも上記の還元率を実現するには、ちょっとしたテクニックが必要だから。

横道に反れました。まぁポイントの有無は兎も角として消費者が使ってくれるかが問題なんだけど、まずは電子マネーの導入時期が07年。よく考えたんだけど、この時期設定はそんなに遅くないと思った。


ここから僕の意見というか妄想。

セブングループは第3の電子マネーのプラットフォームとしてFelicaを採用し新たにカードなど発行してそれをユーザに持ってもらうのではなく、Felicaチップ内蔵携帯(いわゆるおさいふケータイ)に第3の電子マネーアプリダウンロードしてもらうことでカード代わりとするらしい(プレスリリースにはそこまで書いてないが当然そういう狙いになるだろう)。ということはFelica携帯にアプリがデフォルトインストールされれば07年春以降は全てのユーザが3つの電子マネーを平等に使える環境が整うわけである(携帯の買い替えスパン等で普及スピードは変わるかもしれないけど)。

と考えると、先発後発関係なく電子マネーのカバー範囲で勝負が決まるような気がしてきた。Felica携帯を持ってさえすれば3種類の電子マネーのどれでも使うことができる。問題はその電子マネーを使う機会があるかどうか。そして大半の人はセブングループの店(というかセブンイレブン)を利用するので第3の電子マネーを使わざるを得ない。特に郊外では都心と違ってEdy/Suicaともに普及率が低く後発というハンディキャップが少ないので、電子マネーのカバー範囲の広いセブングループ(というかセブry)が優位に立ちそう。

なので僕としてはセブンの独自マネー導入は成功するんじゃないかと思っている。もう一度理由を言うと先発後発に関係なくパイの広さが勝負を決めそうだから。そしてセブングループのパイは広いから。とはいえEdy/Suica陣営が潰れるとも思っていない。電子マネーを使ってない人は意識しないかもしれないけれどEdy/Suicaとも使える場所は確実に増えており、利用者に取っては「潰れたら困る」レベルまでになっているから(裏を返せばそれだけの顧客を既に獲得しているということ)。

※ただ提携(CNETのブログで書いている「複数の電子マネー規格間での価値流通・交換を行うサービス」)くらいはするかもしれない。可能性が高いのはSuicaと第3の電子マネーの提携。これはJCBが一枚噛んでるからという理由以外にないのだけど、ANA-Edy-VISA陣営 VS JAL-Suica-JCB陣営というマネー界の構図を考えると自然と連想される提携だから。

つまり将来的に3つの電子マネーが共存するシナリオが一番可能性が高いと思っているし消費者にとってもありがたいと考えている。電子マネーが増えることによる唯一のデメリットは消費者の利便性が低くなることだけど、Felica携帯が普及してしまえばハード1つで種類を切り替えるだけなので、僕らが今想像しているよりも体感的な不便さは感じないんじゃないだろうか?

「3つの電子マネーがあるけど使い分けとかあんまり気にしなくていいし、競争してくれるんならいいんじゃね?」

となりそうな予感がするのである。

つってもモバイルSuicaが出ていない以上、Felica携帯でEdy/Suicaを併用した経験のある人は居ないんですけどね。まぁ僕はVIEWカードユーザーなので自分で試してみることにします。以上、第3の電子マネー参戦で各社のポイント還元率がもっと高くなることを期待しているANA/VISA/Edyカード、VIEW/Suicaカード両所有のteraでした。

※CNETだけにTBしようと思ったのですが、セブン独自マネーに勝機はないという意見を書かれている方がいらっしゃったのでそちらにも。このエントリーは第3の電子マネーがFelicaベースという前提抜きで書かれているから否定的なエントリーなのかもしれないけど。

セブンイレブンの独自規格電子マネーには勝算はあるのか?